ピアノがどうやって音を出すのかご存じですか?ピアノの祖はたった3つのパーツで構成されていました。
反響板、弦、ハンマーです。今もその根本は変わっていませんが、先人たちの努力によって改良に次ぐ改良が行われ、何千ものパーツで構成されるピアノの仕組みが生まれました。
今回はピアノが音をだす仕組み(ピアノアクション)についてご説明します。
知っていますか?ピアノが音を出すしくみ
皆さんは、ピアノがどうやって音を出しているか知っていますか?
グランドピアノをお持ちの方は、大屋根を開けてみたことがあるでしょうから、鍵盤を押した時の内部の様子を見たことがあるかも知れません。
アップライトピアノの方は、天屋根を開けることがあまりないと思うので、多分内部の様子を見たことはないかも知れませんね。
とにかく、ピアノの内部にはたくさんの弦やネジで一杯。一見どうやってあんなに美しい音が出てくるのか不思議な感じがします。
今回は、ピアノが音を出すしくみについて、少しお話ししようと思います。
ピアノには、大小合わせて何千もの部品が使われています。それらのしくみを発明し、ピアノの音を素晴らしいものに作り上げた先人たちのすごさを分かっていただければ、と思います。
ピアノの最初は反響板と弦だけでした
ピアノの祖と言われる楽器は、11世紀に中近東から伝えられた「ダルシマー」と言うものです。この楽器は反響板のような板の上に弦を張り、それを小さなハンマーでたたき音を出していました。
次に、鍵盤を押すと弦を打つ仕組みが登場したのが14世紀頃。この楽器は「クラヴィコード」と呼ばれていました。
その後、鍵盤を押すと、棒の先についた爪が弦を弾く仕組みが1500年頃に作られます。この楽器は「チェンバロ」と呼ばれ、広くヨーロッパに広がりました。
音色はピアノよりも、音の出し方が同一のギターなど弦楽器に近い音です。
このチェンバロ、弦を爪で弾くという性質上強弱をつけることができず、その不満を解消するために、今のピアノの仕組みが作られました。
弾いていた弦をハンマーでたたくという方法に切り替え、強弱を出すことに成功したのです。この楽器を「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と言い、ピアノはこの名前が省略されたものです。
ピアノのアクションとは?
前述の「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」のように、鍵盤を押すと、ハンマーが弦をたたいて音を出す仕組みのことを「アクション」と言います。
ここからさらにピアノは進化していきます。
最初はハンマーが弦をたたいてから元の位置に戻るまで、同じ音をもう一度出すことができませんでした。
ゆっくりしたリズムなら問題ありませんが、早いトリルなどの場合は鍵盤の戻りが遅れ音が出せないのです。
これを解消したのが19世紀に発明されたレペティション機構(ダブルエスケープメント)です。
レペティションは繰り返しという意味で、ハンマーが元の位置に戻る前に次の打鍵ができるようにしたのです。これで高速のトリルの問題も解消し、現在のピアノと性能的にはほぼ同じになりました。
もちろんその後も現代に至るまで、より美しい音色を作り出すべく、技術者たちは今も努力を重ねています。近い将来、また画期的な技術が発明されるかも知れませんね。