ほとんどのピアノには、キャスターがついていて、一見押せばピアノを動かせるように見えます。
一般家庭はともかく、コンサートホールや学校の体育館のピアノは移動が頻繁に行われています。
しかし、ついているキャスターのみでのピアノの移動は、実はとても危ない行為だと知っていますか?最悪の場合大事故につながる、危険なピアノの移動についてお話しします。
ほとんどのピアノにはキャスターがついています
ピアノにはアップライト、グランドピアノと大きく分けて2つの種類がありますが、どちらの種類にも、ほとんど脚にキャスターがついています。わが家には、古いヤマハのアップライトピアノがあるのですが、やはりキャスターつのものでした。
ピアノは重い楽器です。その重さはアップライトで200?300kg、グランドピアノでは300?600kgもあります。それをアップライトなら4本、グランドピアノはたった3本の脚で支えているのです。
当然ながら脚1本1本にかかる比重は相当なもの。ピアノは本来あまり動かすべきものではないのです。
ではなぜキャスターつきのピアノが多いのか?
はっきりした理由は分かりませんでしたが、実際ピアノはその重さ、大きさの割には意外に動かす機会が多い楽器だったのです。
ピアノを動かす機会、頻度
普通、一般家庭にあるピアノは一度置いてしまうと、引っ越しや処分以外の理由で動かすことはありません。
しかし、頻繁に移動を行う場所もあります。それはコンサートホールやスタジオ、そして学校です。
コンサートホールでは、催す演目が変わる度にピアノの移動が行われます。それはそうですね。ピアニストが1人で演奏するコンサートの場合と、フルオーケストラでの1パートとしての場合とでは、ピアノの重要度が全然違いますから。スタジオも然りです。
一方学校ではほとんどの場合、音楽室と体育館にピアノがあります。音楽室はともかく体育館のピアノは、定位置はあるものの、多少の移動は日常茶飯事です。
入学式、卒業式、音楽会など、出席する人数などによりピアノを移動させた方が良い場合があるからです。
実は危ない、キャスターでのピアノの移動
ピアノの移動が頻繁なホールや学校にとって、キャスターつきのピアノは便利に見えるかも知れません。
しかし、ピアノは重い上に、重心が上部にあり、さらにグランドピアノには3本しか脚がなく、そもそも不安定。
安易にピアノを押して移動させることは非常に危険な行為なのだそうです。脚が折れたり、ピアノが倒れたりだけなら物の被害だけで済みます。
しかし体育館のピアノを子どもが押していてピアノが倒れ、子どもが下敷きになってしまったら、ケガだけでは済まないでしょう。
どうしてもピアノを移動したい時は、ピアノ運搬用のキャスターで移動させるか、4方向にキャスターがついた専用のピアノ補助キャスターをつるなどの対応をするべきです。
そして運搬者もできれば知識を持っている人にお任せするべきです。
また地震の際、予測不可能なキャスターの移動や転倒をさけるため、転倒防止器具などをつけておけばさらに安心です。