日本はかつて、年間ピアノ生産台数が世界1位でした。ヤマハ・カワイの両メーカーがピアノ大量生産の仕組みを作り上げ、生産台数世界1、2位に輝いたのが1969年。
今は中国が世界1位ですが、両メーカーは今も世界トップクラスのシェアを誇っています。
その本社があるのが静岡県。静岡県は国産ピアノでほぼ100%のシェアを独占しています。
ピアノはもともと庶民には無縁の、まさに高嶺の花でした
皆さんは、日本がピアノの年間生産数で世界1位に輝いていたことがあるのをご存じですか?
今もピアノは高価なものですが、もっともっと昔、明治?昭和初期まで、ピアノは本当に高価で、まさに高嶺の花でした。
その頃のピアノの製作方法は、いわゆる手工業生産で、職人が小さな工場でピアノを1台1台手作りしていたのです。
当然、1台製作するのに何か月もかかり、生産台数も限られるので売値は高額にならざるを得ませんでした。
その代わり1台1台はそれこそ職人が丹精込めて作り上げた逸品であり、大量生産にはない良さもたくさんありました。
今でもヨーロッパの老舗ピアノメーカーでは、このような製作方法を守り続けているところがあります。
しかしそれでは、いつまでたってもピアノは庶民に縁のないものとなってしまう。
どうにかして一般の人にもピアノの良さを広めたい、誰もが望めばピアノが弾けるようになってほしい。
そう思ったのが、今のヤマハ・カワイの創業者たちです。
ヤマハ・カワイの功績で、ピアノ生産台数世界1位に
彼らは明治時代よりピアノ・オルガンの製作を始め、切磋琢磨しながらピアノメーカーとして成長していきました。
それは戦争で一旦途切れたものの、終戦後は再び生産を開始し、ピアノを大量生産する方法を考え出しました。
大規模工場を作り、生産工程の短縮を図る。様々な努力の結果、1969年(昭和44年)ヤマハはピアノ生産台数世界1位を獲得したのです。
そしてカワイは第2位。日本のメーカーが生産台数において世界を席巻した瞬間でした。
今、生産台数世界1位の国は中国であり、その生産台数は年間37万9000台。
ちなみに日本のピアノ生産台数は、ピーク時の1980年代には同じくらいありましたが、今は4万2000台と中国の約9分の1です(2012年)。
それでもヤマハ・カワイ両メーカーのピアノは、世界トップクラスのシェアを今も誇っています。
今もあの県にピアノメーカーの拠点が
さて、今や世界的にも認知されているヤマハ・カワイの両メーカーの本社が静岡県浜松市にあるのはご存じですか?
もともとどちらの創業者もピアノ製作を始めたのが静岡県で、カワイの創業者は元ヤマハの技術者でした。
この2つの会社の周りには、ピアノ工房と言われるような中小のメーカーが多数集まり、いつしかピアノの一大生産地が形成されました。
その後、電子楽器で有名なローランドの本社も浜松市に移転してきました。浜松市は、今、音楽文化都市として世界に認められるまでになりました。
今後、「音楽のまち」から「音楽の都」になるべく、市をあげて様々な取り組みをしていくとのことで、これからも期待したいですね。
浜松市はヤマハ・カワイの本社があり、ピアノメーカーの拠点といえる市です。
しかし、広く見てみるとヤマハの工場は掛川市、カワイの工場は磐田市にあり、中心となっているのは浜松市ですが静岡県としてみてもピアノ生産が盛んということができます。
かつて30社以上と言われていた中小ピアノメーカーも今は数社程度しか残ってはいませんが、いずれも静岡県に拠点を置き、ピアノ生産を続けています。
国内第3位といわれる東洋ピアノも静岡県にありますね。
これに加え、国内2大メーカーのヤマハとカワイがある静岡県は、日本のピアノ生産のほぼ100%を担っています。
静岡といえば、日本一のお茶の産地として知られていますが、今日から日本一のピアノ生産地とも覚えてくださいね。