ピアノの鍵盤は大体88鍵ですが、弦の数はその約3倍の230本前後もあるってご存じでしたか?
なんと1つの音に2,3本の弦が使われているので、こんなに本数が多くなるんですね。
またピアノの中・高音部と低音部では、弦の本数や種類、長さが異なります。
弦の種類や長さと音の高低の関係や、なぜ1つの音を出すのに弦が2本も3本も必要なのかについて解説します。
ピアノは鍵盤楽器ですが、もともとは「弦楽器・打楽器」でした
ピアノは、鍵盤を押して音を出す「鍵盤楽器」と呼ばれる物の一つです。
しかし、グランドピアノをお持ちの方なら、ピアノの内部を見たことがあるのではないでしょうか。
中にはびっしりと金属製の弦が張られていて、鍵盤を押すと弦がたたかれて音が出ます。
そのため、ピアノは「弦楽器」とも「打楽器」ともいえます。
ピアノの祖先といわれる楽器は「ダルシマー」というもの。
これは台形の箱の上に弦を張り、それをハンマーでたたいて音を出すというものでした。
音を出す基本的な仕組みは、ピアノと同じです。
しかし、ピアノの祖であるダルシマーから現在のピアノの姿になるまでには、長い時の中で様々な改良が行われてきました。
そしてそれは今も続けられており、ピアノメーカーはより美しい音を求めて互いに研鑽に励んでいます。
今回はピアノの音を作り出す「弦」についてのお話です。
鍵盤は88鍵なのに、弦は230本前後もあります
ピアノの鍵盤はごく一部を除き88鍵が一般的です。
しかし弦の数はピアノの機種によって変わり、約230本前後です。
あれ?鍵盤は88鍵なのに、弦は230本もあるの?何で?と思いませんか?
そうなのです。弦は1音に対しいくつも張られているのです。
しかも、張られている減の本数は、中・高音部では1音につき弦3本、低音になるにつれて、3本→2本→1本と弦の本数も減っていきます。
そのため、弦の本数もピアノによって変動し、「ピアノには何本の弦が張られているの?」と聞かれると、「230本前後」と答えます。
ただ、同じメーカーのピアノでも、機種により20本以上も本数が異なることもあります。
弦の種類は、中・高音部には芯線(裸線)が使われ、低音部には巻線と呼ばれる芯線に動線などが巻かれたものが使われています。
なぜ一音に弦が2本も3本も必要なの?
では、なぜ1を出すのに弦が2本も3本も必要なのでしょうか?
1つは、大きな音を出すため。
1本の弦をハンマーでたたくより、3本の弦をたたいた方が大きな音が出る。これは感覚的に分かりますね。
そして、弦を複数にする最も大きな理由、響きが良くなるから。
グランドピアノをお持ちの方は弦がどのように張られているか、屋根を開けて見ていただくと分かると思いますが、弦は3本なら3本が一定の間隔を空けて綺麗に並べられています。
1つに束ねてあるわけではありません。ハンマーがこの弦をたたく際、3本の接地面が微妙にずれることで、弦の振動数(周波数)が変わり、それが余韻の響きとなるのです
調律師は、この弦の微妙な響きの違いを聞き分けて、弦を締めているネジ(チューニングピン)を調節しながら振動数を操作し、最も豊かな響きになるよう調音を行います。
調律師のすごさを感じますね。
ピアノの屋根をちょっとでも開けたことがある方は、ずいぶんいっぱい弦があるなあと思ったこと思います。
なんと、1つの鍵盤ごとに弦が1本張られているのではないのですね。
お持ちのピアノは、どの音から弦の本数が変わるか分かりますか?
毎日、見ているピアノでも、まだまだ知らないことがたくさんあるのではないでしょうか。あらためて、ピアノの奥深さが感じられますね。