今から40年以上前、カワイの二代目社長河合滋は、初代小市のピアノの音へのこだわりをカタチにしたKGシリーズを世に送り出しました。
そしてその翌年に、今ではカワイとシンメル社のみでしか作られていない「クリスタルピアノ」を発売しました。
クリスタル(水晶)のごとく透明で美しいそのピアノは、今も多くのファンを持ち、受注生産を続けています。
カワイピアノの成り立ちと変遷 河合小市の時代
カワイは、1927年に元ヤマハの技術者だった河合小市が、「この手で、世界一のピアノを作りたい」という思いで始めた会社です。
当初は「河合楽器研究所」という名前で、彼の思いに賛同する仲間数人と立ち上げた小さな倉庫からのスタートでした。
しかし、当時天才技師と言われた小市を始め、仲間たちのピアノにかける思いは熱く、会社を設立した年には、カワイ製作第一号となるアップライトを、その翌年には第一号となるグランドピアノを作り上げました。
その後、1929年には「河合楽器製作所」と改名し、需要に応じて工場を拡大し、小市の発案でピアノに関するいくつもの特許を取得し、夢を形にするべくまい進していきました。
ところが、戦争が始まりその夢は一時中断されてしまいます。
終戦後、資材も人材もない中で、1948年よりピアノ、電子オルガンの製作を再開し、1950年には500号というグランドピアノが作られました。
その後も順調に1952年には600号、800号と、新しいグランドピアノを次々と発表していきました。
カワイピアノの成り立ちと変遷 河合滋の時代
小市の死亡後、新しく社長に就任した河合滋は、大量生産に耐えうる設備の充実を図りながら、小市のような音にこだわり、音の分かる技術者を育てるべく、ピアノ調律技術者養成所を設立しました
小市の作り上げた音、それは低音部の響きの良さと柔らかく温かみのある音。
「カワイトーン」と呼ばれるその独特の音を滋はさらに追及し、より磨きをかけて、1970年にグランドピアノKGシリーズを完成させました。
そして1971年、今でも人目を引く斬新なデザインのクリスタルピアノの誕生となります。
クリスタルピアノとは、それまでドイツのシンメル社でしか製作されていなかったもので、本来木で作られるピアノの外側の素材をアクリルに変えて製作された、文字通りクリスタル(水晶)のように透明なピアノです。
カワイ クリスタルピアノの特徴と価格
カワイのクリスタルピアノは1971年より受注生産が始まりましたが、今も同じ機種が受注生産されています。
その圧倒的な存在感は、音だけでなく姿でも魅せるピアノとして、コンサート用、ホテルのロビーなどでの演奏・観賞用として人気を呼んでいます。
日本の有名なロックバンド X JAPANのドラマー兼キーボードの「YOSHIKI」がこのピアノを気に入り、コンサートで使用するようになり、さらに知名度が高まりました。
現在、クリスタルピアノとしてCR-40A,CR-30の2機種が販売されています。現行のCR-30は、CR-40Aに比べ一回り小さく、価格も抑えられています。
販売価格は、
機種 | 販売 | 販売価格 | 中古販売価格 |
---|---|---|---|
CR-40A | 1972年 | 640万円 | 370?386.9万円 |
CR-30 | 1972年 | 600万円 | 不明 |
となっています。
CRシリーズには、CR-40Nという機種もかつては存在していたようなのですが、現在は販売されておらず、また発売も1990年代でしたので、ここでは省いています。
現在も作り続けられているモデルであり、なおかつ古さを感じさせない外観で、古いものでも高値買取が期待できます。
現在、年間の生産台数は決して多くなく、受注生産なので、ピアノ関係者でもなかなか目にすることのできない希少なピアノです。
もし、お手元にあり、現在使わないのであれば、買取という方法で次の方に譲ってあげてはいかがでしょうか。クリスタルピアノは、理解をしてくれる信頼できる業者を探すことがポイントです。