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聞いたことのないピアノブランドを見つけて、どこのメーカーか分からずお困りではありませんか?実は日本には戦前から1990年代にかけて100社を超えるピアノメーカーが存在していました。その多くが現在は廃業していますが、年代や状態によっては10万円~30万円程度の買取価格がつくピアノも少なくありません。
ただし、30年以上経過したピアノや外装に大きな損傷があるものは買取困難となり、処分費用として5,000円~30,000円程度が必要になる場合があります。
この記事では、お手持ちのピアノのブランドを特定する具体的な方法と、知られざる日本のピアノメーカー情報をご紹介します。
先に査定額の目安だけ知りたい方は、こちらから無料で確認できます。
ピアノのブランド名・メーカーを調べる3つの方法
お手持ちのピアノのメーカーが分からない場合、以下の順序で調べることで効率的に特定できます。
①ピアノ本体でブランド名と製造番号を確認する場所
まずは、ピアノ本体でメーカー名と製造番号を確認しましょう。
- アップライトピアノ:上前板(鍵盤上部の木製部分)、音響板、内部の金属プレート
- グランドピアノ:譜面台の下、響板、フレーム部分
- 製造番号:ピアノ内部の金属フレームやハンマー部分付近
ブランド名は文字で、製造番号は数字で刻印されています。懐中電灯を使って内部を照らすと、刻印が見えやすくなります。
②製造番号からメーカーと製造年を特定する方法
製造番号が分かったら、以下の専門サイトで詳細を調べてみましょう。
- ピアノ工房カワムラ:日本製ピアノの製造番号データベース
- ピアノパッサージュ:廃業メーカー情報と製造年検索
- 楽器.me:ピアノメーカー別製造番号一覧
製造番号は製造年や生産順序を示す重要な手がかりとなります。
③ネット検索で効果的にブランド情報を見つけるコツ
ネット検索を行う際は、以下のキーワード組み合わせが効果的です。
- 「ブランド名 ピアノ メーカー」
- 「ブランド名 製造会社 日本」
- 「ブランド名 廃業メーカー」
- 「ブランド名 ヴィンテージ ピアノ」
- 知恵袋や質問サイトでの過去の回答を確認
複数の検索方法を試すことで、より詳しい情報が見つかる可能性があります。
日本の廃業ピアノメーカー一覧(公的資料で確認できたもの)
聞き慣れないブランドの多くは、かつて国内にあったメーカーの製品です。ただしネット上には出典のはっきりしない情報も多いため、ここでは浜松市が編纂した『浜松市史』、国税庁の法人番号公表サイト、大学の研究論文で裏が取れたものだけを掲載します。
| メーカー | ブランド | 所在地 | 創業 | 現在 |
|---|---|---|---|---|
| アトラスピアノ製造 | ATLAS(アトラス) | 静岡県浜松市 | 1955年 | 1986年に倒産。ブランドは中国で生産継続 |
| 富士楽器製造 | ベルトーン | 静岡県浜松市 | 1932年 | 法人は現存せず |
| 大橋ピアノ研究所 | OHHASHI(オオハシ) | 静岡県浜松市 | 1958年 | 法人は現存せず |
アトラスピアノ製造|ブランドは今も中国で生産されています
1955年(昭和30年)、頼金忠氏が浜松市浅田町に「日米楽器工業所」を前身として設立し、1960年にアトラスピアノ製造株式会社へ改称しました。『浜松市史』では、日本楽器製造(ヤマハ)・河合楽器製作所に次ぐピアノメーカーと記されており、国立音楽大学の指導を受けた同大学の指定工場でもありました。
1986年(昭和61年)に事実上倒産。負債総額は約50億円で、当時の従業員は175人でした。登記上の解散は2015年12月15日です。
ただし「ATLAS」のブランドそのものは失われていません。中国・大連の法人が2003年に商標を含む権利を取得し、現在も同ブランドのピアノを生産していると同社が公式サイトで説明しています。お手持ちがアトラスのピアノでも、ブランドが完全に消滅したわけではありません。
富士楽器製造(ベルトーン)|ブランド名はピアニストの命名
1932年(昭和7年)、野田秀治氏が浜名郡和田村に「富士楽器製作所」を個人経営で創業したのが始まりです。1936年に株式会社へ改組し、ピアノとハーモニカの製造を開始しました。戦時中は軍需工場に指定されて木製飛行機の主翼・尾翼を製造していた時期もあります。
ピアノのブランド名は「ベルトーン」。ピアニストのレオニード・クロイツァーが命名したもので、ラテン語で「美しい音」という意味です(『浜松市史 四』)。1957年当時は月産20〜30台のアップライトピアノを製造し、販路の7割は東京だったと記録されています。
なお「ベルトーン」は独立した会社ではなく、富士楽器製造のブランド名です。倒産の時期について、静岡文化芸術大学の研究論文には1968年(昭和43年)と記されています。現在「富士楽器」を名乗る中古ピアノ販売の会社がありますが、こちらは別の法人です。
大橋ピアノ研究所(OHHASHI)|月産12台の小規模生産
創業者の大橋幡岩氏(1896-1980)は日本楽器(ヤマハ)出身のピアノ技術者で、戦後に浜松楽器工業の創立へ参加し、ディアパソンブランドのピアノの設計・試作・製造に携わりました。その後1958年(昭和33年)に大橋ピアノ研究所を設立し、「オオハシ(OHHASHI)」ブランドのピアノを製造しています。
月産12台程度という小規模な生産で、アクション部品は今出川ピアノアクション製造から購入していました(『浜松市史 四』)。現在、同名の法人は登記上存在しません。
紛らわしいのですが、大橋幡岩氏が1948年に生んだDIAPASON(ディアパソン)と、1958年設立の大橋ピアノ研究所のOHHASHIは別のブランドです。ディアパソンは河合楽器製作所が1958年から引き継ぎ、現在も製造されています。
浜松のピアノメーカーが消えていった時期
『浜松市史 五』には「高度成長期に乱立した楽器メーカーも、昭和五十年代から六十年代にかけて消えていく企業が増加した」と記されています。実際、1982年にトニカ楽器、1985年に東海楽器製造、1986年にアトラスピアノ製造と大成ピアノ製造が相次いで倒産しました。お手持ちのピアノが1980年代以前の国産ブランドなら、製造元がすでに無いこと自体は珍しくありません。
調べても社名が出てこないブランドについて
正直にお伝えすると、ネット上で「かつて存在した国産メーカー」として紹介されているブランドの中には、公的な資料で裏付けが取れないものがあります。今回、国税庁の全国法人データ、『浜松市史』の全文、静岡県ピアノ製造協同組合の1966年当時の組合員リスト(22社)まで当たりましたが、名前が見つからないブランドがありました。
ただしそれは「そのピアノに価値がない」という意味ではありません。当時は小規模な工房や、他社が製造したピアノに販売店の名前を入れて売るケースもありました。ブランド名で情報が出てこない場合は、製造番号から年代を調べる方法で年式を確認するほうが、査定では確実です。
いま国内メーカーはどうなっているか(2026年8月時点で確認できたこと)
ヤマハ・カワイ以外の国産ブランドは、「廃業した」「今も作っている」といった情報がネット上で錯綜しています。ここでは各社の公式サイトと業界団体の会員名簿で確認できた事実だけを整理しました。買取査定では部品の入手性が評価に影響するため、製造元が今どうなっているかは実用的な情報です。
| ブランド | 製造元 | 2026年8月時点の状況 |
|---|---|---|
| APOLLO(アポロ) | 東洋ピアノ製造(静岡県磐田市) | アップライトは新品を生産中。グランドは新規生産・新規受注を見合わせ中 |
| WISTARIA(ウイスタリア) | 株式会社ウイスタリア(神奈川県大和市) | 新品の自社製造を継続中(型番と価格を公式に掲載) |
| SCHWESTER(シュベスター) | エスピー楽器製作所(静岡県磐田市) | 公式に「現在はピアノの修理・販売を主な業務としています」と記載 |
| DIAPASON(ディアパソン) | 河合楽器製作所 | 2017年にカワイが吸収合併。現在もカワイが製造・販売 |
| KREUTZER(クロイツェル) | クロイツェルピアノ(静岡県浜松市) | 公式サイトが閲覧できず、現在の状況は確認できない |
| シュバイツァスタイン | シュバイツァ技研(静岡県磐田市) | 2021年末に同社が「新品の生産は中止」と告知。その後の状況は確認できない |
確認方法:各社公式サイト(2026年8月10日閲覧)、鍵盤楽器公正取引協議会の会員企業一覧(2026年6月30日現在)、河合楽器製作所の公式ニュースリリース(2019年3月1日)。
東洋ピアノ製造(APOLLO/アポロ)
静岡県磐田市に本社・工場を置くメーカーで、1948年6月設立。アポロブランドのアップライトピアノは現在も生産・販売されています(公式サイトに現行モデルと価格が掲載されています)。
ただしグランドピアノについては、公式サイトで「新規生産及び新規受注を見合わせております」と告知されています。お手持ちがアポロのグランドピアノの場合、新品の供給が止まっている分、中古市場での位置づけは変わってくる可能性があります。
独自機構「SSS(スライド・ソフト・システム)」を搭載したアップライトを、同社は「世界で最もグランドピアノに近いアップライトピアノ」と自社で称しています。姉妹ブランド「Vierge(ヴィエルジェ)」は中国生産で、国内流通品の最終調整は国内本社工場で行うと公式に明記されています。
ウイスタリア(WISTARIA)|現在も新品を製造している
「ウイスタリア」「ウィスタリア」と書かれたピアノは、廃業メーカーではありません。読み方が珍しいため「聞いたことがない=価値がない」と誤解されやすいブランドの代表格です。
公式サイトによると、1924年(大正13年)に東京蒲田楽器製作所として創業し、1956年に「ウイスタリア・ピアノ製作所」と改称、1971年に神奈川県大和市へ移転しています。今回調べた国産の中小ブランドの中で、新品ピアノの自社製造を続けていることが公式サイトで確認できたのはウイスタリアだけでした(アップライト・グランドの型番と価格が公開されています)。ドイツ・レスロー社のワイヤーとレンナー社のハンマーを使用していると公式に記載されています。
つまり製造元がはっきりしており、部品供給や修理の見通しも立てやすいブランドです。査定でも「メーカー不明」として扱われる筋合いはありません。年式と状態が分かれば、買取相場の調べ方を参考に目安をつかんだうえで査定に臨めます。
シュベスター(SCHWESTER)とシュバイツァスタインは別の会社です
名前が似ているため混同されがちですが、この2つは静岡県磐田市にある別々の会社のブランドです。
- シュベスター(SCHWESTER)=有限会社エスピー楽器製作所。1929年創業の協信社ピアノ製作所を前身とし、1958年にシュベスターピアノ製造、1981年に現社名となったと公式に記載。公式サイトには「現在はピアノの修理・販売を主な業務としています」とあり、新品の製品ページや価格の案内はありません
- シュバイツァスタイン=株式会社シュバイツァ技研。ブランド名はアルベルト・シュバイツァ博士にちなみます。2021年12月時点の公式サイトに「現在新品の生産は、部品の調達の問題により中止しております」と記載されていました。現在は公式サイトが閲覧できず、その後の状況は確認できていません
クロイツェル(KREUTZER)の現況
静岡県浜松市のメーカーで、ブランド名はピアニストのレオニード・クロイツァーに由来するとされています。公式サイトは2026年8月時点で閲覧できず、鍵盤楽器公正取引協議会の会員企業一覧にも社名の掲載がありません。ただし廃業を伝える公的な発表や報道も見当たらないため、このサイトでは「廃業した」とも「現在も製造している」とも断定しません。
参考として、2013年に静岡文化芸術大学が発表した浜松地域の中小メーカー調査では、当時のクロイツェルは「注文生産のみで、通常は修理・再生が中心、生産台数は年間数台以下」とされていました(2013年時点の情報です)。
ディアパソン(DIAPASON)は現在カワイが製造
ディアパソンは、名器を生んだ設計者・大橋幡岩が1948年に立ち上げたブランドです。河合楽器製作所の公式ニュースリリース(2019年3月1日)に「2017年に吸収合併した関連子会社株式会社ディアパソン」「当社は1958年から引き継いでおります」と記載されており、現在はカワイが製造・販売しています。ブランドが消えたわけではないので、ディアパソンのピアノをお持ちの場合、部品供給や修理の面では比較的安心して査定に臨めます。
外国製・日本製・OEM生産ピアノの見分け方
ブランド名だけでは製造国の判断が難しい場合があります。
ブランド名から製造国を推測する5つのパターン
一般的に、以下のような傾向があります。
- ドイツ系:「〜シュタイン」「〜ベルク」「〜ホーフ」などの語尾
- イタリア系:「〜ニ」「〜オ」で終わる名前
- アメリカ系:シンプルな英単語の組み合わせ
- 日本系:カタカナ表記でも実は日本製が多数存在
- 韓国・中国系:1990年代以降に登場したブランドに多い
Made in表示と実際の製造国が異なるケース
現在の表示義務とは異なり、古いピアノには製造国の明記がない場合が多くあります。また、ライセンス生産により、海外ブランド名でも日本製の場合があります。
特に1970年代以降は、海外ブランドを日本で製造するOEM生産が活発に行われました。
調べた結果に基づく次のアクション【修理・買取・処分】
ピアノのブランドが判明した後は、その情報を基に適切な選択をすることが大切です。
価値あるピアノの場合:修理・調律による再生
以下のような場合は、修理による再生を検討する価値があります。
- 現存メーカー製で部品調達が可能
- 製造年が比較的新しい(30年以内が目安)
- 基本構造に問題がない
- 修理費用と使用頻度のバランスが取れる
買取可能なピアノの条件と査定ポイント
廃業メーカーでも以下の条件を満たせば買取対象となる場合があります。
買取可能性の高いピアノ
- 製造年:1990年以降(業者により基準は異なります)
- 外装状態:大きな傷や変色がない
- 内部機構:基本的な演奏に支障がない
- ブランド認知度:東洋ピアノなど一定の知名度があるもの
廃業メーカーピアノの買取相場(状態良好な場合)
- 1990年代製造:5万円~20万円程度
- 1980年代製造:3万円~15万円程度
- 1970年代製造:買取困難(処分費用が発生する場合あり)
買取困難な場合の適切な処分方法
残念ながら買取が困難な場合でも、以下の選択肢があります。
- 自治体の粗大ごみ回収サービス
- 楽器店の引き取りサービス(有料)
- リサイクル業者への依頼
- 寄付先の検索(学校、福祉施設など)
- 部品取りとしての活用
処分費用の相場
- 自治体回収:5,000円~15,000円程度
- 楽器店引き取り:10,000円~25,000円程度
- 民間業者:8,000円~30,000円程度
ブランド調査で困った時の専門家相談先
自力で調べきれない場合は、以下の専門家に相談することで詳しい情報を得られる場合があります。
調律師・ピアノ技術者による鑑定サービス
調律師は長年の経験から、多くのピアノメーカーの特徴を把握しています。
- 技術的観点:音質、タッチ、構造の特徴から推測
- 歴史的知識:過去のメーカー変遷に詳しい
- 費用目安:出張調律と併せて相談すると効率的
楽器店・買取業者の無料査定活用法
商業的な価値判断と併せて、ブランド情報を得ることができます。
- 複数社に査定を依頼して情報を比較
- 査定時にメーカーについて質問
- 買取不可でも情報提供してもらえる場合あり
- 無料査定なので費用負担がない
思い出の詰まったピアノを手放すのは寂しいものですが、適切な調査を行うことで、そのピアノの価値や歴史を知ることができます。
無名ブランドだからと諦めず、お手持ちのピアノの価値を確認してみることをお勧めします。まずは製造番号やブランド名の確認から始めてみましょう。
ただし、査定額は業者や状態により大きく異なります。特に廃業メーカーのピアノでは期待よりも査定額が低くなる可能性があることを、あらかじめご理解いただいた上で査定を受けることが大切です。
お手持ちのピアノの価値を確認してみませんか?
聞き慣れないブランドについてよくある質問
Q. 聞いたことがないメーカーのピアノでも買取してもらえますか?
ブランドの知名度だけで買取の可否が決まるわけではありません。査定では製造年・状態・部品の入手性などが総合的に見られます。国産の中小メーカー製であれば、状態次第で値が付くことがあります。まずは無料査定で確認するのが確実です。
Q. メーカーがすでに廃業していると、価値はゼロになりますか?
ゼロと決まるわけではありません。ただし部品の入手が難しくなるため、修理を前提とした評価は厳しくなる傾向があります。一方で、状態が良ければ国内外で再販される道もあります。詳しくは古いピアノの買取価格はいくら?年数別の相場をご覧ください。
Q. ブランド名がどこにも書いていない場合はどうすればいいですか?
鍵盤蓋の内側やフレーム上部、背面に刻印がある場合が多いです。それでも分からないときは製造番号から特定できることがあります。ピアノの製造番号の調べ方とピアノの型番の調べ方で手順を解説しています。